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暗号資産・FX・メルカリの確定申告|会社員の20万円基準と損失の扱い

会社員がFX、暗号資産、メルカリ等で収入を得るきっかけはさまざまです。
資産運用として意識的に取引している人もいれば、趣味の延長で始めた出品が思いがけず利益になった人もいます。
ただし税務上の扱いは、始めた動機や規模ではなく、取引の種類と所得の金額で決まります。
すべてを同じ「副業収入」として計算せず、取引ごとの課税方式と損失の扱いを分けると、20万円基準の判定や申告準備を進めやすくなります。
この記事で分かること
- 趣味の延長で始めた人も、収入源として意識的に取り組んでいる人も、FX・暗号資産・メルカリ等の税務上の扱いは、始めた動機ではなく取引の種類と所得の金額で決まります。
- 一定のFX取引は申告分離課税となり、要件を満たして申告を続ければ、損失を翌年以後3年間繰り越せる場合があります。
- 暗号資産は、日本円への売却だけでなく、商品購入や暗号資産同士の交換でも損益計算が必要です。
- メルカリ等で古着や家財などの生活用動産を売った所得は原則非課税ですが、仕入販売や高額な貴金属等は別の確認が必要です。
- FXの損失と暗号資産の利益を相殺することはできません。年間資料はサービス別に集めた後、税務上の区分別に整理します。
FX・暗号資産・メルカリは、所得計算の前に分類する
最初に見るのは、入金額の合計ではなく、何をどのような取引で得たかです。
FX、暗号資産、フリマ販売では、所得区分、課税方式、損失を差し引ける範囲が異なります。
| 取引 | 主な税務上の扱い | 損失の主な扱い | 最初に確認する資料 |
|---|---|---|---|
| 一定のFX差金決済 | 先物取引に係る 雑所得等として 申告分離課税 | 対象となる先物取引内で通算。 要件を満たす申告で 3年繰越 |
|
| 個人の暗号資産取引 | 2026年7月15日時点では 原則として その他雑所得の総合課税 | 給与やFXとは通算できず、 現行制度では 翌年へ繰り越せない |
|
| メルカリ等の販売 | 生活用動産の売却は 原則非課税。 仕入販売等は 課税対象になり得る | 売った物の性質と 所得区分を確認して判断 |
|
同じ「雑所得」という言葉が使われる場合でも、FXの「先物取引に係る雑所得等」と、暗号資産の「その他雑所得」では課税方法が異なります。
名称だけを見て損益を相殺せず、それぞれの区分で年間所得を計算してください。
利益が20万円以下なら確定申告は不要ですか?
1か所から給与を受け、年末調整済みで、給与収入が2,000万円以下など一定の条件を満たす会社員は、給与所得・退職所得以外の所得金額の合計が20万円を超えると、原則として所得税の確定申告が必要です。
国税庁の給与所得者で確定申告が必要な人でも、売上ではなく所得金額を基準にしています。
FX、暗号資産、課税対象となるメルカリ販売、その他の副収入がある場合は、まず区分ごとに所得を正しく計算し、その後に20万円基準を確認します。
ただし、所得金額を合計して申告要否を判定することと、異なる区分の利益・損失を損益通算することは別です。
FXの赤字を暗号資産の利益から差し引くことはできません。
医療費控除などを受けるために確定申告をする場合は、20万円以下の副収入だけを申告から除外することはできません。
また、所得税の確定申告を省略できても、住民税の申告が必要になる場合があります。
翌年1月1日時点の住所地の自治体で確認しましょう。
なお、医療費控除や住宅ローン控除で申告するケースも含め、会社員の確定申告が必要になる条件の全体像を先に押さえておくと、個別ルールの位置づけが分かりやすくなります。

FXは課税方式と損失繰越を年間損益報告書で確認する
一定のFX差金決済による所得は、「先物取引に係る雑所得等」として他の所得から分けて税額を計算する申告分離課税の対象です。
国税庁の先物取引に係る雑所得等の課税の特例では、所得税15%、地方税5%とされ、復興特別所得税を含めた一般的な負担率は20.315%です。
ただし、「国内FX」「海外FX」という呼び方だけで課税方式を決めるのは安全ではありません。
金融商品取引法上の登録を受けていない業者等との取引は、この特例の対象外となる場合があります。
利用業者、契約相手、取引の種類を確認し、年間損益報告書の金額を起点に計算します。
FXの必要経費と損益通算の範囲
FX所得は、年間の決済損益やスワップ損益から、取引に直接必要と認められる費用を差し引いて計算します。
年間損益報告書にすでに反映されている手数料やスプレッドを、別の経費として二重に差し引かないようにしてください。
通信費や機器代等は、取引に直接必要な部分を資料で説明できるようにします。
たとえば、年間損益報告書上の利益が40万円で、報告書に含まれていない直接費用が5万円なら、所得計算の出発点は35万円です。
ただし、その費用が必要経費に当たるか、報告書へ反映済みでないかを先に確認します。
対象となるFXの損失は、同じ年の一定の先物取引に係る雑所得等と通算できますが、給与所得、暗号資産の雑所得、フリマ販売の所得とは通算できません。
控除しきれない損失は、損失が出た年に必要書類を付けて申告し、その後も連続して申告することで、翌年以後3年間にわたり繰り越せる場合があります。
利益が出てから過去の損失を申告するのではなく、損失年から手続することが重要です。
詳しい要件は国税庁の先物取引の差金等決済に係る損失の繰越控除で確認できます。
暗号資産は円への売却以外にも課税のタイミングがある
2026年7月15日時点では、個人の暗号資産取引による利益は、事業に付随する場合などを除き、原則としてその他雑所得に区分されます。
「日本円に換えていないから利益は確定していない」とは限りません。
国税庁の暗号資産等に関する税務上の取扱いについて(FAQ)では、売却、使用、交換などの計算例が示されています。
売却・使用・交換したとき
| 取引 | 所得計算のタイミング | 残す記録 |
|---|---|---|
| 暗号資産を日本円等で売却 | 売却した時点で 譲渡損益を計算 |
|
| 暗号資産で 商品・サービスを購入 | 支払に使用した時点で 譲渡損益を計算 |
|
| 暗号資産Aを 暗号資産Bへ交換 | 交換した時点で Aの譲渡損益を計算 |
|
取得・保有しているとき
| 取引 | 所得計算のタイミング | 残す記録 |
|---|---|---|
| マイニング・ステーキング・ レンディング等で取得 | 取得時点の時価を収入として確認 |
|
| 保有したまま値上がり | 含み益だけでは通常、 所得計算をしない |
|
基本的な譲渡損益は、「譲渡価額-譲渡した暗号資産の取得価額-売却等に直接要した費用」で考えます。
たとえば、取得価額12万円分の暗号資産を18万円の商品購入に使い、直接手数料が2,000円なら、譲渡益は5万8,000円です。
商品を買っただけに見えても、支払に使った暗号資産を譲渡したものとして計算します。

取得価額は暗号資産の種類ごとに全取引をまとめる
暗号資産の取得価額は、種類ごとに総平均法または移動平均法で計算します。
個人が評価方法を届け出ていない場合の法定評価方法は総平均法です。
国内交換業者の年間取引報告書を使うときは、国税庁の暗号資産の計算書の総平均法用を利用できます。
複数の交換業者、海外サービス、個人ウォレットを使っている場合も、交換業者ごとではなく同じ暗号資産の全取引を集めます。
自分の口座・ウォレット間の移動と、売却・交換を区別し、移入と移出を別々の売買として二重計上しないようにします。
DeFi、NFT、エアドロップ等は契約や受領条件、時価、取引履歴が複雑になりやすいため、一律の処理をせず個別に確認してください。
通信費やパソコン代等は、暗号資産の売却に直接必要な部分に限って必要経費となる場合があります。
私用分を含む支出の全額を一律に経費とせず、利用割合や取引との関係を記録しておきましょう。
300万円超の取引と将来の分離課税は個別確認が必要
国税庁の2025年12月改訂FAQでは、その年の暗号資産取引に係る収入金額が300万円を超える場合、帳簿書類の保存があれば原則として事業所得、保存がなければ原則として業務に係る雑所得と整理されています。
ただし、帳簿があっても営利性が認められない場合などは個別判断です。
300万円超や事業での決済がある場合も、開業届の提出だけで所得区分を決めないようにします。
また、令和8年度税制改正の大綱には、一定の特定暗号資産について20%の申告分離課税と3年の損失繰越を導入する方針が盛り込まれています。
しかし、適用は前提となる金融商品取引法改正法の施行年の翌年1月1日以後です。
2026年7月15日時点の国会の議案審議経過では、参議院委員会の可決まで記録されている一方、参議院本会議の結果、公布日、施行日は記載されていません。
現時点の申告へ将来制度を適用せず、公開直前と実際の申告時に対象取引・適用開始日を再確認してください。
暗号資産取引の法人化も、個人と法人の税率だけでは判断できません。
法人が保有する活発な市場のある暗号資産は、一定の例外を除き期末時価評価の対象となる場合があります。
保有目的、暗号資産の種類、譲渡制限、期末評価、設立・維持費等を含め、設立前や決算前に確認する必要があります。
その前提として、マイクロ法人を設立すると何が変わるのかという基本の損得構造から押さえておくと判断しやすくなります。
メルカリ等は不用品処分と仕入販売を先に分ける
メルカリ等の売上があるだけで、直ちに課税されるわけではありません。
国税庁は給与所得者のネットオークション等の副収入について、古着や家財など生活の用に供している資産の売却による所得は非課税と案内しています。
自宅で使っていた衣類、家具、家電等の処分と、利益を得る目的で仕入れた商品の販売を分けて確認します。
趣味で始めた出品でも、仕入れや制作を伴う継続的な販売になっていれば、非課税の生活用動産ではなく課税対象として確認する必要があります。
| 確認する状況 | 考え方 | 保存する資料 |
|---|---|---|
| 自宅で使っていた 衣類・家具・家電等を売却 | 生活用動産の売却による所得は 原則非課税 |
|
| 貴金属・宝石・書画・ 骨とう等を売却 | 1個または1組の価額が 30万円を超えるものは 非課税の対象外 |
|
| 商品を仕入れて反復販売 | 事業所得または雑所得等の 課税対象になり得る |
|
| ハンドメイド品等を継続販売 | 販売の規模・継続性・営利性等から 所得区分を確認 |
|
「30万円」はメルカリの年間売上や利益に対する共通の非課税枠ではありません。
国税庁の譲渡所得の対象となる資産と課税方法にある、貴金属・宝石・書画・骨とう等の1個または1組の価額に関する基準です。
課税対象となる販売は、プラットフォームの入金額をそのまま所得とするのではなく、売上から取得費・仕入代金、販売手数料、送料、梱包費等の必要経費を差し引きます。
返金やキャンセルがあれば、その記録も売上画面と照合します。
販売点数だけで所得区分を機械的に決めず、売った物の性質、購入目的、販売実態を整理してください。

申告前にサービス別資料を集め、税務上の区分で整理する
- 本業の源泉徴収票と過年度の申告書控えを用意し、1か所給与・年末調整済み等、20万円基準の前提を確認します。
- FXは、全口座の年間損益報告書、取引明細、入出金履歴、報告書へ含まれていない必要経費の資料を集めます。
- 暗号資産は、国内外の年間取引報告書、全取引CSV、ウォレット履歴、取得・売却・交換・決済・報酬受領の日本円換算根拠を集めます。
- メルカリ等は、売上画面だけでなく、品目、取得費・仕入代金、送料、販売手数料、梱包費、返金・キャンセルの記録を保存します。
- 損失がある場合は、FXの損失繰越を使うか、暗号資産やフリマ所得と誤って通算していないかを確認します。
サービス別にダウンロードした資料は、そのまま足し合わせるのではなく、「申告分離課税のFX」「現行制度上の暗号資産」「非課税または課税対象を判定するフリマ販売」に分けます。
複数口座・複数ウォレット、高額品、海外サービス、過年度の計算漏れがある場合は、データを削除・修正する前に元資料を保存しておきましょう。
あわせて、経費にできる支出の範囲は会社員の副業経費の境界線で、給与のWワークがある場合は副業全体の税金と住民税の手続きで、それぞれの前提を確認しておくと抜けを防げます。
よくある質問
FXの損失を暗号資産の利益から差し引けますか?
差し引けません。
一定のFX取引の損失は、対象となる先物取引に係る雑所得等の範囲で通算します。
暗号資産のその他雑所得や給与所得とは課税区分が異なるため、別々に計算します。
暗号資産を別の暗号資産へ交換しただけでも申告に関係しますか?
関係します。
暗号資産Aで暗号資産Bを取得した場合は、Aを譲渡したものとして、交換時点の日本円換算額とAの取得価額から損益を計算します。
円への売却履歴だけでなく、交換履歴も集めてください。
メルカリの年間売上が20万円を超えたら確定申告が必要ですか?
年間売上だけでは判断できません。
まず、生活用動産の売却として非課税か、仕入販売等の課税対象かを確認します。
課税対象の場合は売上から必要経費を差し引いて所得を計算し、他の給与・退職所得以外の所得と合わせて申告要否を判定します。
暗号資産の利益が20万円以下なら何もしなくてよいですか?
暗号資産だけで判定せず、FXや課税対象となるフリマ販売など、ほかの給与・退職所得以外の所得も確認します。
所得税の確定申告を省略できる場合でも住民税申告が必要になることがあり、医療費控除等で確定申告する場合は20万円以下の所得も申告に含めます。
まとめ
FX、暗号資産、メルカリ等の収入は、入金額を一括して「副業の雑所得」にするのではなく、課税方式と損失の扱いを分けます。
一定のFX取引は申告分離課税と3年の損失繰越、暗号資産は円への売却以外の課税イベントと全取引の取得価額、メルカリ等は生活用動産か仕入販売かが主な確認点です。
いずれの取引も、始めた動機や規模ではなく、取引の種類と所得の金額で判断する点は共通です。
20万円基準は売上や商品ごとの非課税枠ではありません。
各区分の所得を計算したうえで、会社員としての申告要否を確認します。
暗号資産の将来の分離課税はまだ適用前のため、実際の申告時には最新の法令と国税庁案内を確認してください。
トランス税理士法人では、サラリーマン・会社員の確定申告や税務相談をサポートしています。
FX・暗号資産・フリマ販売の所得区分や損益計算に不安がある方は、年間損益報告書、暗号資産の全取引履歴、フリマの売上・取得費・経費記録、本業の源泉徴収票を整理したうえでお気軽にご相談ください。
投稿者プロフィール

- トランス税理士法人 代表税理士
- 1978年生まれ。
東京税理士会所属(登録番号 第140269号)。
明治大学大学院グローバル・ビジネス研究科修了、MBA取得。
税理士・CFP・1級ファイナンシャル・プランニング技能士として、法人税務から個人税務まで幅広い相談に対応。特に、サラリーマン・会社員の確定申告、税務調査対応、RSU・ストックオプション、不動産所得、副業、各種控除など、給与所得者に起こりやすい税務の論点を中心にサポートしている。
また、税務調査をテーマにした書籍
『〜知らないと損するかもしれない〜 税務調査を受ける前に押さえるべきポイント』
(株式会社KACHIEL)に、共著者の一人として執筆に参加。
コラムでは、複雑になりやすい税金の仕組みをできるだけ分かりやすく整理し、
読者が自分の状況を確認しやすい情報発信を行っている。
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