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住宅ローン控除の適用要件と初年度の確定申告|2026年改正対応

確定申告ガイド 監修・執筆:中山慎吾(トランス税理士法人 代表税理士)
「2026年改正対応 住宅ローン控除の適用要件と初年度の確定申告」住宅の資料を前に考える男女のイラスト

結婚や出産をきっかけにマイホームを購入する会社員にとって、
住宅ローン控除は「ローン残高の0.7%が戻る制度」というだけでは終わりません
40平方メートル台のマンションでも対象になるのか、共働きでペアローンを組んだら夫婦それぞれが申告するのか、
育休で所得税が減った年も控除を使い切れるのか、住み替えで旧居を売る場合や転勤になった場合はどうなるのか——
家族と仕事の状況によって、契約前から確認しておきたいポイントが変わります。

マイホームを購入して入居した会社員は、その年の分から住宅ローン控除
(住宅ローンの年末残高に応じて所得税が軽くなる制度。正式には住宅借入金等特別控除)を受けられる場合があります。
ただし、初年度だけは年末調整では受けられず、自分で確定申告をする必要があります
この記事では、2026年(令和8年)入居分からの改正内容を踏まえて、
適用要件と初年度の手続き・必要書類を、契約前から2年目以降までの時系列で整理します。

目次

この記事で分かること

  • 住宅ローン控除は、住宅ローンの年末残高の0.7%を所得税額から直接差し引く税額控除で、所得税から引ききれない分は上限の範囲で翌年度の住民税からも控除されます。ただし、育休・時短勤務などで所得税額が小さい年は、控除額を使い切れない場合があります。
  • 制度は令和8年度税制改正(2026年3月31日成立・公布)により2026年(令和8年)から2030年(令和12年)入居分まで延長され、既存住宅(中古住宅)の主要な区分は控除期間が13年に拡充、床面積要件は原則40平方メートル以上に緩和されました。
  • 住宅の性能区分によって借入限度額と控除期間が大きく変わり、省エネ基準を満たさない新築は対象外です。どの区分で申告できる物件か、証明書類が発行されるかは契約前に確認します。19歳未満の子がいる世帯や夫婦のいずれかが40歳未満の世帯には限度額の上乗せがあります。
  • 共働きでペアローンや共有名義にする場合は、資金の負担割合・借入額・登記持分を契約前にそろえておくと、夫婦それぞれの控除と贈与税の問題を整理しやすくなります。
  • 初年度は入居した年の翌年に確定申告が必要です。計算明細書、ローンの年末残高情報(金融機関により残高証明書が不要な「調書方式」があります)、登記事項証明書、契約書の写し、住宅性能の証明書類を揃えます。
  • 2年目以降は年末調整で控除が続きます。初年度の申告を忘れていても、対象年の翌年1月1日から5年間は還付申告ができます

住宅ローン控除は、年末残高の0.7%を税額から差し引く制度

住宅ローン控除は、住宅ローンを利用してマイホームを新築・購入・増改築し、一定の要件を満たす場合に、
ローンの年末残高の0.7%を所得税額から差し引ける制度です。
生命保険料控除のように「税率をかける前の所得」を減らす所得控除ではなく、
計算された税額そのものから差し引く税額控除のため、控除額がそのまま税負担の軽減につながります。
ただし、「年末残高×0.7%」が必ず全額戻るわけではありません
制度の概要と要件は国税庁のタックスアンサー(住宅借入金等特別控除)で確認できます。

実際に差し引かれる額は、おおまかには、
①年末残高×0.7%、
②住宅の性能ごとに決まる借入限度額×0.7%、
③その年の所得税額(および住民税からの控除上限)
の3つを比べて、最も小さい額に落ち着く構造です。
借入額が大きくても限度額で頭打ちになり、税額が小さければそこまでしか引けません。

所得税から引ききれない分は、翌年度の住民税から控除される

控除額がその年の所得税額を上回る場合、
引ききれなかった分は翌年度の個人住民税から控除されます
総務省の案内では、2022年(令和4年)以降の入居分は
「前年分の所得税の課税総所得金額等の5%(97,500円が上限)」の範囲とされています
総務省:個人住民税の住宅ローン控除)。

たとえば、認定長期優良住宅の新築に入居し、年末残高が3,000万円なら、
0.7%で21万円が控除額の候補になります(借入限度額の範囲内)。
その年の所得税額が16万円だった場合、所得税からは16万円を差し引き、
残りの5万円は上限の範囲内で翌年度の住民税から差し引かれます。
実際の金額は所得や他の控除の状況で変わるため、この計算はあくまで仕組みを理解するための例です。

育休・時短勤務で所得税が減る年は、控除額を使い切れないことがある

この計算構造は、家族と仕事の変化に直結します。
育休・時短勤務・転職などで給与が減ると、その年の所得税額も小さくなるため、
ローン残高が同じでも控除の候補額を使い切れないことがあります。
たとえば、上と同じ控除候補21万円の年に、育休で所得税額が6万円まで下がっていた場合、
所得税からは6万円しか引けず、住民税からの控除も97,500円が上限のため、
上限まで控除できたとしても候補額のうち5万円ほどは引ききれずに終わる計算になります
(実際の金額は課税総所得金額等の5%の枠にも左右されます)。

住宅購入時の資金計画では「13年間、毎年同じ額が戻る」と置かず
育休・時短勤務・退職の予定がある年を含めて、
その年ごとの税額でどこまで控除を使えそうかを確認しておくことをおすすめします。

住宅ローン控除の適用要件は「住む人・家・ローン」の3つに分けて確認する

住宅ローン控除の適用要件は数が多く見えますが、
「住む人の要件」「家の要件」「ローンの要件」に分けると確認しやすくなります。
あわせて、住み替えで旧居を売却する人は、
売却時の特例との併用制限も別に確認が必要です。
主な要件と、確認に使う資料は次のとおりです。

住宅ローン控除で契約前に確認したい点を表現する画像
区分主な要件確認に使う資料
住む人取得等から6か月以内に入居し、
適用を受ける年の12月31日まで
引き続き住んでいること

合計所得金額が2,000万円以下であること
  • 住民票の異動記録
  • 源泉徴収票(所得の確認)
床面積が原則40平方メートル以上
(2026年以降入居分。
合計所得金額1,000万円超の人や
子育て世帯等の上乗せを使う場合は
50平方メートル以上)で、
床面積の2分の1以上が
自己の居住用であること
  • 登記事項証明書(登記上の床面積で確認)
ローン返済期間が10年以上の分割返済であること。
生計を一にする親族など
特別な関係者からの取得や、
贈与による取得でないこと
  • 金銭消費貸借契約書
  • 売買契約書
  • 工事請負契約書
住み替え・旧居売却入居した年とその前2年・後3年の計6年間に、
旧居の売却で居住用財産の3,000万円特別控除など
譲渡所得の課税の特例を受けていないこと
  • 旧居の売買契約書
  • 旧居を売却した年の確定申告書の控え

床面積は登記上の面積で判定されます
不動産広告の面積(壁芯面積)と登記面積(内法面積)には差が出ることがあるため、
「42平方メートルのマンションだから対象外」などと広告の数字だけで判断せず、
契約前・申告前に登記事項証明書の数字で確認してください。

住み替えの人は、旧居の売却で3,000万円特別控除や軽減税率などの特例を使うと、
上の表のとおり新居の住宅ローン控除を受けられない期間が生じる点に注意してください。
売却益が出る場合は、「旧居売却の特例で減る税額」と
「新居の住宅ローン控除でこれから減っていく税額」のどちらが大きいかを、
売却の確定申告をする前に比較して選ぶ必要があります。
売却側の特例の内容や計算はこの記事では扱いませんが、
選択は後からやり直せないため、迷う場合は申告前に個別に確認してください

中古住宅は「1982年(昭和57年)以後の建築か」を先に見る

既存住宅(中古住宅)の場合は、上記に加えて耐震性の要件があります。
国税庁のタックスアンサー(中古住宅の取得)では、
1982年(昭和57年)1月1日以後に建築された住宅(いわゆる新耐震基準の住宅)であること、
それより前の建築であれば一定の耐震基準に適合することの証明があることが要件とされています。
「築何年まで」という一律の線引きではないため、
建築年月日と耐震関係の書類を購入前に確認しておきましょう。

共働きのペアローン・共有名義は、契約前に「負担・借入・持分」をそろえる

共働きで夫婦それぞれが住宅ローン控除を受けるには、
それぞれが自分の借入金(または自分が負担すべき債務)を持ち、住宅の持分を登記したうえで、
各自が要件を満たす必要があります
夫婦がそれぞれ契約する2本のローン(いわゆるペアローン)では各自の借入金と持分で判定し、
1本のローンを夫婦の連帯債務にした場合は、
国税庁の質疑応答事例(連帯債務により取得した場合)のとおり、
各人の控除対象になる借入金の額は、各人が実質的に負担すべき債務の額を基準に決まります。

もう1つの注意点は贈与税です。
国税庁のタックスアンサー(共働きの夫婦が住宅を買ったとき)では、
実際の購入資金の負担割合と所有権登記の持分割合が異なる場合、
その差額について夫婦間の贈与として贈与税の問題が生じることがあるとされています。
「控除を増やしたい」という理由だけで持分を決めず、
頭金・借入額・返済の負担・登記持分の整合を契約・登記の前にそろえておきましょう。
初年度の確定申告も、夫婦それぞれが自分の分を行います
(どちらか一方の申告にはまとめられません)。

2026年(令和8年)入居からの改正ポイントと借入限度額

住宅ローン控除は2025年(令和7年)末で期限を迎える予定でしたが、
令和8年度税制改正により、2026年(令和8年)1月1日から2030年(令和12年)12月31日までの入居分へ5年間延長されました。
この改正を含む「所得税法等の一部を改正する法律」は
2026年3月31日に成立・公布済みです(令和8年法律第12号)。
改正の全体像は財務省の令和8年度税制改正のページで、
住宅ローン控除の具体的な内容は国土交通省の報道発表資料で確認できます。
2026年以降入居分の主な変更点は次のとおりです。

  • 長期優良住宅・低炭素住宅・ZEH水準省エネ住宅などの既存住宅(中古住宅)は、借入限度額が引き上げられ、控除期間が10年から13年に拡充されました。子育て世帯等の上乗せも既存住宅で使えるようになりました。
  • 床面積要件が新築・既存とも原則40平方メートル以上に緩和されました。ただし、合計所得金額1,000万円超の人と、子育て世帯等の上乗せ措置を使う人は50平方メートル以上が必要です。
  • 省エネ基準適合住宅(新築)は、2026・2027年入居分は対象ですが、2028年以降の入居分は原則対象外になります(2027年末までに建築確認を受けたもの等は限度額2,000万円・10年の経過措置あり)。省エネ基準を満たさない「その他の住宅」の新築は引き続き対象外です。
  • 2028年(令和10年)以降の入居分から、土砂災害特別警戒区域など災害レッドゾーンに新築する住宅は対象外とされます(建替え・既存住宅・リフォームは対象)。

「長期優良住宅」「ZEH水準」などの性能区分を先に押さえる

借入限度額の表を読む前に、表の縦軸になっている住宅の性能区分を整理します。
不動産広告でも見かける言葉ですが、住宅ローン控除では「広告にどう書いてあるか」ではなく、
国土交通省の住宅ローン減税の案内にある次の区分と、
それを裏付ける証明書類で判定します

区分どんな住宅か申告で使う主な証明書類
認定長期優良住宅耐震性・耐久性や維持保全の計画など、
長く良好な状態で住み続けるための基準を満たし、
所管行政庁(都道府県・市区町村)の
認定を受けた住宅
  • 長期優良住宅建築等計画の認定通知書
など
認定低炭素住宅省エネ性能に加えて、
二酸化炭素の排出を抑える措置を講じた計画について、
所管行政庁の認定を受けた住宅
  • 低炭素建築物新築等計画の認定通知書
など
ZEH水準省エネ住宅ZEH(ゼッチ。エネルギー収支の実質ゼロを
目指す住宅の考え方)に相当する
高い省エネ性能を持つ住宅。
断熱等性能等級5以上かつ
一次エネルギー消費量等級6以上
が基準
  • 住宅省エネルギー性能証明書
  • 建設住宅性能評価書
など
省エネ基準適合住宅ZEH水準より下の区分で、
現行の省エネ基準を満たす住宅。
断熱等性能等級4以上かつ
一次エネルギー消費量等級4以上
が基準
  • 住宅省エネルギー性能証明書
  • 建設住宅性能評価書
など

注意したいのは、広告に「省エネ」「ZEH相当」と書かれているだけでは、
住宅ローン控除上の区分は確定できない
ことです。
想定していた区分の証明書が発行されないと分かるのが引き渡し後では、
物件選びにも資金計画にも戻れません。
どの区分で申告できる物件か、その根拠になる証明書類が発行されるかを、
契約前に売主・施工会社へ(できれば書面で)確認してください。

2026年に入居する場合の借入限度額と控除期間は、
前掲の国土交通省の資料では次のように整理されています。
カッコ内は子育て世帯等に適用される限度額です。

住宅の性能新築・買取再販既存住宅(中古)
長期優良住宅・低炭素住宅4,500万円(5,000万円)×13年3,500万円(4,500万円)×13年
ZEH水準省エネ住宅3,500万円(4,500万円)×13年3,500万円(4,500万円)×13年
省エネ基準適合住宅2,000万円(3,000万円)×13年2,000万円(3,000万円)×13年
その他の住宅(省エネ基準を満たさない)対象外2,000万円×10年

性能区分の証明書類は、初年度の確定申告で添付を求められます。
契約前の確認とあわせて、引き渡し時には書類そのものを受け取り、申告まで保管してください。
なお、2025年以前に入居した人は入居した年の制度で判定されるため、
この表ではなく国税庁のサイトで入居年のルールを確認してください。

子育て世帯・若者夫婦世帯には借入限度額の上乗せがある

上の表のカッコ内の金額が適用される「子育て世帯等」とは、国土交通省の案内では
「19歳未満の子(扶養親族)がいる世帯」または「夫婦のいずれかが40歳未満の世帯」を指し、
居住した年の12月31日時点の状況で判定するとされています。
該当すると、たとえば長期優良住宅の新築では
借入限度額が4,500万円から5,000万円に広がります

注意点は床面積です。
2026年以降の床面積要件は原則40平方メートル以上ですが、
この上乗せ措置を使う場合は50平方メートル以上が必要とされています。
結婚後に40平方メートル台のコンパクトなマンションを購入するようなケースでは、
夫婦が40歳未満でも上乗せは使えず、通常の限度額での適用になるため、
上乗せを前提にせずに資金計画を確認しておきましょう。

子育て世帯が暮らす明るい住まいを表現する画像

初年度は年末調整では受けられず、確定申告が必要

住宅ローン控除は、要件を満たしていても自動では適用されません
国税庁のタックスアンサーでは、給与所得者は控除を受ける最初の年分について確定申告書の提出が必要で、
2年目以後の年分は年末調整で適用を受けられるとされています。
年末調整しか経験のない会社員にとって、
初年度の確定申告がこの制度のいちばんのハードルです。

確定申告が初めての方は、会社員の確定申告の全体の流れと提出方法を先にざっと眺めておくと、このあとの手順が読みやすくなります。

初年度の確定申告の流れ

手続きの大きな流れは、
①入居した年の12月31日時点のローン残高を把握する、
②必要書類を集める、
③「(特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算明細書」で控除額を計算する、
④確定申告書とあわせて入居した年の翌年に税務署へ提出する、
の4段階です。
所得税の確定申告期間は原則として翌年2月16日から3月15日ですが、
住宅ローン控除で税金が戻る「還付申告」だけであれば
翌年1月1日から提出できます
書類の多くは購入時・引き渡し時にしか受け取れないため、
入居した年のうちにひとまとめにしておくのが実務上のポイントです。

初年度の確定申告で用意する書類

書類入手先確認ポイント
(特定増改築等)
住宅借入金等特別控除額の
計算明細書
国税庁サイト・税務署(確定申告書等作成コーナーでも作成可)控除額の計算は
この明細書で行う
住宅ローンの年末残高が
分かるもの

(年末残高等証明書など)
借入先の金融機関後述の「調書方式」の場合は
証明書が発行されない
登記事項証明書法務局床面積・取得年月日・持分
確認に使う
売買契約書・
工事請負契約書の写し
購入時・建築時に受領済みのもの取得対価や契約日
確認に使う
住宅性能に関する
証明書類

(認定通知書、
住宅省エネルギー
性能証明書、
住宅性能評価書、
耐震基準適合証明書など)
売主・施工会社・評価機関性能区分(=借入限度額)と
中古住宅の耐震要件
の根拠になる
源泉徴収票勤務先申告書の給与・所得税額
記載に使う
(提出は不要だが手元に用意)

「調書方式」なら残高証明書が不要になる場合がある

従来は金融機関が発行する「年末残高等証明書」を確定申告や年末調整で使うのが基本でしたが、
現在は金融機関が残高情報を直接税務署へ提出する「調書方式」への移行が進んでいます。
国税庁の住宅ローン控除の適用に係る手続(年末残高調書を用いた方式)によると、
調書方式に対応した金融機関の借入では残高証明書の発送自体がなくなり、
代わりに借入者が金融機関へ「住宅ローン控除の適用申請書」を提出します。

一方、調書方式へ移行していない金融機関では、
従来どおり残高証明書の交付を受けて申告に使います。
また、国税庁の同じ案内では、マイナポータル連携などで年末残高の情報を電子的に受け取って
申告書へ自動入力するには、入居した年のうちにe-Taxでの取得申込みなどの事前手続きが必要とされています。
翌年の申告時期になってから「残高証明書が届かない」と慌てないために、
入居した年の秋頃までに次の3点を確認しておきましょう。

  • 借入先の金融機関が調書方式か証明書方式か(金融機関の案内・サイトで確認)
  • 調書方式の場合、「住宅ローン控除の適用申請書」を金融機関へ提出したか
  • マイナポータル連携などで残高情報を受け取りたい場合、入居した年のうちにe-Tax側の事前手続き(取得申込みなど)を済ませたか

2年目以降は年末調整で控除が続く

初年度の確定申告を済ませると、
給与所得者の2年目以降は年末調整で控除を受けられます
税務署から交付される年末調整用の申告書(控除証明書を兼ねた書類)に、
ローンの年末残高情報を組み合わせて勤務先へ提出する流れです。
調書方式の場合は残高証明書の添付が不要になるなど、
ここでも借入先の方式によって書類が変わります。

なお、2年目以降でも医療費控除や副業所得の申告などで確定申告をする年は、
住宅ローン控除もその中であわせて適用します。
どちらで受けても控除額は変わりません

契約前から2年目以降まで:時期別のチェックリスト

ここまでの内容を、会社員が動く順番に並べ直すと次のようになります。
「契約前にしか確認・修正できないこと」と「入居した年のうちにやること」
取り違えないための一覧として使ってください。

時期確認・実行すること確認先・使う資料
物件比較・契約前登記上の床面積
(40平方メートル・50平方メートルの線)、
性能区分と証明書類の発行可否、
中古住宅の建築年月日・耐震証明、
旧居を売る場合は売却特例との併用制限
  • 売主
  • 施工会社
  • 仲介会社
  • 登記事項証明書
  • 証明書類の見本
ローン・登記を決める前誰が借りるか
(ペアローン・連帯債務)、
頭金と返済の負担割合、
登記持分との整合

返済期間10年以上
  • 金融機関
  • 司法書士
  • 売買契約書
  • 金銭消費貸借契約書
入居した年のうち取得等から6か月以内の入居と
12月31日時点の居住

契約書・証明書類の保管、
調書方式の確認と適用申請書の提出、
マイナポータル連携を使う場合の
e-Tax事前手続き
  • 金融機関の案内
  • e-Tax
  • 引き渡し時に受け取った書類一式
翌年1月〜3月初年度の確定申告
(還付申告だけなら1月1日から提出可)。
副業・医療費控除・ふるさと納税がある年は
同じ申告書にまとめる
  • 計算明細書
  • 年末残高情報
  • 登記事項証明書
  • 源泉徴収票
2年目の秋以降年末調整用の申告書と残高情報
勤務先へ提出
  • 税務署から交付される年末調整用書類
  • 勤務先の年末調整案内
転勤・住み替えのとき家族全員で転居するか
単身赴任かの整理、
再適用のための届出、
旧居売却特例との選択
  • 税務署
  • 税理士
  • 転任の辞令
  • 売却関係の書類
入居や住み替えに向けた引っ越し準備を表現する画像

よくある質問

Q. 初年度の確定申告を忘れていました。もう控除は受けられませんか?

A. あきらめる必要はありません。
税金が戻る還付申告は、国税庁のタックスアンサー(還付申告)のとおり、
対象となる年の翌年1月1日から5年間提出できます
住宅ローン控除も還付申告の対象例として挙げられています。
入居から数年たっている場合は、対象年ごとの書類を揃えたうえで、
どの年分から申告できるかを個別に確認してください。

Q. 転勤で購入した家に住めなくなったら、控除はどうなりますか?

A. 家族全員で転居して住まなくなった年以後は、控除の適用がいったん止まります。
ただし、転任命令などやむを得ない事由による場合は、所定の届出書を提出しておくことで、
再びその家に戻って住み始めた年から残りの控除期間について再適用を受けられる制度があります
国税庁:転任と住宅借入金等特別控除)。
また、単身赴任で配偶者などの家族が住み続けている場合は、
引き続き居住しているものとして控除を継続できる取り扱いがあります。
転勤の辞令が出たら、引っ越し前に届出の要否を確認するのが重要です。

Q. 転職した年も、2年目以降の住宅ローン控除を年末調整で受けられますか?

A. 年の途中で転職し、年末まで新しい勤務先に在籍して年末調整の対象となる場合は、
原則として新しい勤務先で前職分を含めた年末調整を受けます
国税庁:中途就職者の年末調整)。
住宅ローン控除も、その年分の「住宅借入金等特別控除証明書兼申告書」と
年末残高情報を新しい勤務先へ提出します。
前職の源泉徴収票がなく、前職分の給与や源泉徴収税額を確認できない場合は
年末調整を行えないため、確定申告で精算します
住宅ローン控除の年末調整関係書類を紛失した場合は、
税務署へ交付・再交付を申請できます。

Q. 副業の所得が20万円以下でも、住宅ローン控除の申告に含める必要がありますか?

A. 含める必要があります。
給与以外の所得が20万円以下なら所得税の確定申告を省略できる場合がありますが、
これは「確定申告をしない場合」の話です。
住宅ローン控除の初年度申告のように還付を受けるための確定申告をする年は、
20万円以下の副収入もあわせて申告する必要があります
国税庁:給与所得者で確定申告が必要な人)。
副業やふるさと納税がある人は、
住宅ローン控除だけを切り離して申告できない点に注意してください。

そもそもの20万円基準の数え方は副業の受け取り方で変わるため、給与のWワークがある方は判定方法から見直してみてください。

Q. 住民税から控除される分は、別の手続きが必要ですか?

A. 原則として不要です。
所得税の確定申告(2年目以降は年末調整)で住宅ローン控除の手続きをしていれば、
所得税から引ききれなかった分は、市区町村への別の申告なしに翌年度の住民税で控除されます。
ただし上限(前年分所得税の課税総所得金額等の5%・97,500円)があるため、
控除額の全部が使い切れるとは限りません。

なお、ふるさと納税も利用している場合、住宅ローン控除があると寄附の上限額が変わることがある点にも注意が必要です。

まとめ

住宅ローン控除は、年末残高の0.7%を最長13年間、所得税額から直接差し引ける制度です。
2026年(令和8年)以降の入居分では、制度の5年延長とあわせて、
既存住宅の控除期間の拡充や床面積要件の緩和が行われた一方、
省エネ性能による絞り込みが強まり、
「どの性能区分の家を、いつ買って、誰が住むか」で控除の総額が大きく変わるようになりました。
性能区分と床面積は契約前にしか軌道修正できないため、
証明書類の発行可否まで含めて契約前に確認するのが出発点です。
共働きなら、資金の負担・借入・登記持分の整合も
ローン契約と登記の前にそろえておきます。

手続き面では、初年度だけは確定申告が必要で、2年目以降は年末調整で続きます。
書類は購入時・引き渡し時にしか手に入らないものが多いため、入居した年のうちに揃えておくこと、
借入先の金融機関が調書方式かどうか
(マイナポータル連携を使うならe-Taxの事前手続きも)を確認しておくことが、
初年度をスムーズに乗り切るポイントです。
育休・転勤・住み替えなど家族と仕事の変化がある年は控除の使い方も変わるため、
時期別のチェックリストと照らしながら進めてください。
忘れていた場合も5年間は還付申告ができるため、気づいた時点で対応を検討してください。

トランス税理士法人では、サラリーマン・会社員の確定申告や税務相談をサポートしています。
住宅ローン控除の初年度の確定申告や、共働きの持分・借入の整理、
住み替え・副業・医療費控除など他の申告との組み合わせに不安がある方は、
住宅ローンの年末残高が分かる書類、売買契約書・工事請負契約書、登記事項証明書、
住宅性能の証明書類、勤務先の源泉徴収票を整理したうえでお気軽にご相談ください。

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投稿者プロフィール

中山慎吾
中山慎吾トランス税理士法人 代表税理士
1978年生まれ。
東京税理士会所属(登録番号 第140269号)。
明治大学大学院グローバル・ビジネス研究科修了、MBA取得。

税理士・CFP・1級ファイナンシャル・プランニング技能士として、法人税務から個人税務まで幅広い相談に対応。特に、サラリーマン・会社員の確定申告、税務調査対応、RSU・ストックオプション、不動産所得、副業、各種控除など、給与所得者に起こりやすい税務の論点を中心にサポートしている。

また、税務調査をテーマにした書籍
『〜知らないと損するかもしれない〜 税務調査を受ける前に押さえるべきポイント』
(株式会社KACHIEL)に、共著者の一人として執筆に参加。

コラムでは、複雑になりやすい税金の仕組みをできるだけ分かりやすく整理し、
読者が自分の状況を確認しやすい情報発信を行っている。