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マイクロ法人(合同会社)で社会保険料・税金は減らせる?設立費用と会社員が知るべき限界を税理士が解説

確定申告ガイド 監修・執筆:中山慎吾(トランス税理士法人 代表税理士)
「マイクロ法人(合同会社)設立」設立費用と会社員が知るべき限界を整理する3人のビジネスパーソンのイラスト

副業や投資の利益が育ってくると、「自分の会社を作れば税金や社会保険料を抑えられるのでは」という情報を見聞きすることがあります。
代表者1人など少人数で運営する小さな会社は、一般に「マイクロ法人」と呼ばれ、
設立費用を抑えられる合同会社という会社形態が選ばれることが多くあります。

ただし、その効果は働き方と所得の状況によって大きく変わり、
とくに勤務先で社会保険に加入している会社員には、期待どおりに働かない部分があります
この記事では、法人化で税金の何が変わるか、合同会社の設立費用と維持費、社会保険料の仕組みを、
国税庁・日本年金機構などの一次情報をもとに、判断の順番に沿って整理します。

この記事で分かること

  • 法人化の節税効果は、所得税の累進税率(5〜45%)と法人税率(中小法人は所得800万円以下の部分15%)の差だけでは判断できません。法人から個人がお金を受け取るときに再び課税されるため、社会保険料と維持費まで含めた手取りの比較が必要です
  • 合同会社は電子定款を使えば設立時の法定費用を約6万円(登録免許税の最低額)に抑えられます。一方で、赤字でも法人住民税の均等割(東京23区内の最小規模の法人で年7万円)などの維持費が毎年かかります
  • 法人は代表者1人でも健康保険・厚生年金の強制適用です。勤務先で社会保険に加入している会社員が自分の法人から役員報酬を受け取ると、両方の報酬を合算して保険料が計算されるため、社会保険料の節約にはつながりません
  • 「マイクロ法人で社会保険料を抑える」という方法が語られるのは、主に国民健康保険・国民年金に加入する個人事業主・フリーランスの場合で、会社員とは前提が異なります
  • 実態と合わない設計は、年金事務所の加入指導・立入検査や遡っての加入手続きの対象になることがあり、保険料率や制度も毎年度見直されます。設立前に自分の数字での試算が欠かせません

マイクロ法人(合同会社)とは?——法律用語ではなく「小さな会社」の通称

マイクロ法人とは、代表者1人、または家族など少人数だけで運営する小規模な会社の通称で、
税法上・会社法上の正式な区分ではありません
実体は普通の法人であり、設立すれば登記・経理・法人としての税務申告がすべて必要になります。

会社形態としては、合同会社が選ばれることが多くあります。
合同会社は会社法上の「持分会社」の一種で、出資者と経営者が一致する小規模事業向けの形態です。
後述のとおり株式会社より設立費用が低く、定款(会社の基本ルールを定めた書面)について公証人の認証が不要という違いがあります。

会社員がマイクロ法人を検討する典型的な動機は、
「副業・投資の利益にかかる税負担を抑えたい」「収入や資産の管理を個人と分けたい」というものです。

ただ、この判断は「税金」「設立費用と維持費」「社会保険料」の3つを順番に確認しないと正しく比較できません。
以下、この順で見ていきます。

合同会社設立の登記書類と法人印を確認する場面を表現する画像

法人化すると税金の何が変わる?

個人は累進税率、法人はおおむね一定の税率

個人の所得税は、課税される所得金額が増えるほど税率が上がる累進税率で、5%から45%までの7段階です(国税庁 タックスアンサー No.2260「所得税の税率」)。
これに復興特別所得税と住民税が加わります。
会社員の場合、副業の利益(雑所得や事業所得など)は給与と合算して税率が決まるため、
給与水準が高い人ほど、追加の所得には高い税率がかかります。

一方、資本金1億円以下の中小法人の法人税率は、所得のうち年800万円以下の部分が15%(一定の場合を除く)、
800万円を超える部分が23.2%です(国税庁 タックスアンサー No.5759「法人税の税率」)。
法人には法人税のほかに法人住民税・法人事業税もかかりますが、個人の累進のような大きな段差はありません。

比較項目個人(所得税)法人(中小法人の法人税)
税率の仕組み課税所得に応じて
5〜45%の累進
(+復興特別所得税・住民税)
所得800万円以下の部分15%
(一定の場合を除く)・
超える部分23.2%
(+法人住民税・法人事業税)
副業利益の扱い給与と合算して
税率が決まる
法人の所得として
個人の給与とは分けて課税
お金を手元に移すとき—(すでに個人のお金)役員報酬・配当などの形で
受け取る際に、
個人側で再び課税

ここで重要なのは表の3行目です。
法人の税率が低くても、法人のお金は自由に使える自分のお金ではありません
生活費として使うには役員報酬などの形で個人に移す必要があり、そこで所得税・住民税と社会保険料がかかります。
「個人の税率45%と法人の15%の差がそのまま節税額になる」わけではない、というのが比較の出発点です。

あわせて注意したいのは、法人化が「今すでに個人として得ている収入や資産を、あとから法人の売上に付け替える手続き」ではないという点です。
ある収入を法人の売上として扱うには、契約の相手方、入出金、資産の保有、業務の実態がいずれも法人に帰属している必要があります。
個人名義の契約や個人保有の資産をどこまで法人に移せるか、移す場合にどのような手続き・税務上の扱いが生じるかは取引ごとに条件が異なるため、具体的に検討する場合は事前に税理士へご相談ください

役員報酬・赤字の繰越・消費税——法人で使える仕組みと制約

法人化すると、自分に支払う役員報酬は法人の経費(損金)となり、
受け取る側では給与所得として給与所得控除(令和7年分以降は最低65万円。国税庁 タックスアンサー No.1410「給与所得控除」)が使えます。

ただし役員への給与は、原則として事業年度を通じて毎月同額で支給する「定期同額給与」などの要件を満たさないと損金になりません(国税庁 タックスアンサー No.5211「役員に対する給与」)。
利益が出たから年末に増額する、といった調整はそのままでは認められず、報酬額は期首に決めて1年間固定するのが基本です

また、青色申告の承認を受けた法人の赤字(欠損金)は、要件を満たせば翌期以降10年間繰り越して将来の黒字と相殺できます(国税庁 タックスアンサー No.5762)。

消費税は、基準期間の課税売上高が1,000万円以下なら原則として納税義務が免除され、
資本金1,000万円未満の新設法人は設立1期目・2期目も原則免除ですが、
インボイス(適格請求書)発行事業者の登録を受けると免除されません(国税庁 タックスアンサー No.6501「納税義務の免除」)。
取引先との関係でインボイス登録が事実上必要な事業では、免税を前提にした計画は成り立たない場合があります。

「所得◯◯万円から法人化」という目安をうのみにしない

「副業所得が500万円を超えたら」「課税所得800〜900万円が目安」といった法人化ラインがよく語られます。
税率だけを見ればこうした水準で法人有利に見えることがあるのは事実ですが、
この種の目安は、そもそも何を「所得」と呼ぶか(副業の売上か、経費を引いた利益か、税金の計算に使う課税所得か)、
会社員か個人事業主か、社会保険料・維持費・役員報酬の設計まで含めた比較かがそろっていない、簡易的な目安にすぎません
同じ副業利益であっても、立場や条件が違えば結論は変わります。

たとえば、勤務先で社会保険に加入している会社員が役員報酬を取るケースと、
勤務先の社会保険がない個人事業主が法人化を検討するケースとでは、同じ副業利益でも確認すべき内容が異なります。

比較の軸会社員が役員報酬を取るケース個人事業主が法人化を検討するケース
現在の公的保険勤務先の健康保険・
厚生年金に加入中
国民健康保険・国民年金に加入中
法人から役員報酬を取るか取ると二以上事業所勤務となり、
勤務先の報酬と合算して
保険料を計算
取ると法人の健康保険・
厚生年金に切り替わる
法人は強制適用
追加で見る費用・確認事項合算後の保険料負担の増減、
均等割などの維持費、
勤務先へ按分結果が
通知される経路
国保・国民年金からの切替による
将来の年金額・給付水準の変化、
均等割などの維持費
最初に確認すること勤務先の社会保険加入状況と、
自分の法人から取る
役員報酬の予定額
現在の国保・国民年金の
保険料水準と、
法人化した場合の標準報酬月額の見込み

判断に使う数字は「税金が減るか」ではなく「税金+社会保険料+維持費を引いた後の手取りが増えるか」です
同じ副業利益でも、本業の給与水準、所得の継続性、インボイスの要否によって答えは変わります。
目安の水準に達したことは、法人化を決める根拠ではなく、直近の確定申告書の数字を使って手取り試算を始める合図だと考えてください。

合同会社の設立費用はいくら?——設立時と毎年かかるお金

設立時の主な法定費用は、登録免許税(登記の際に国に納める税金)と定款関連の費用です。
登録免許税は株式会社・合同会社とも資本金の0.7%で、最低額が株式会社15万円・合同会社6万円と異なります国税庁 タックスアンサー No.7191「登録免許税の税額表」)。

書面で定款を作ると印紙税4万円がかかりますが、
電子データで作成する電子定款は印紙税の課税対象となる「文書」に当たらないため、この4万円がかかりません。

また、株式会社の定款は公証人の認証(手数料1万5,000円〜5万円)が必要ですが、
合同会社の定款には認証が不要です日本公証人連合会「会社の定款手数料の改定」)。

費用項目合同会社株式会社
登録免許税資本金の0.7%
(最低6万円)
資本金の0.7%
最低15万円
定款の認証手数料不要1万5,000円〜5万円
(資本金の額等で変動)
定款の印紙税書面4万円/
電子定款は不要
書面4万円/
電子定款は不要
法定費用の目安電子定款なら
約6万円〜
電子定款なら
約16万5,000円〜

このほか、実務では会社の印鑑や登記事項証明書の取得費、自宅住所を登記したくない場合のレンタルオフィス代、
電子定款の作成を専門家に依頼する場合の報酬などがかかります。
設立費用は「最低6万円」という数字だけでなく、自分の進め方でいくらになるかを見積もってください。

見落とされやすいのは、設立後に毎年かかるお金です。
法人住民税の均等割は利益と関係なく課税され、
たとえば東京23区内のみに事務所がある最小規模の法人(資本金等1,000万円以下・従業者50人以下)で年7万円です東京都主税局「法人都民税 申告書記載の手引(税率表)」(PDF))。
赤字でもかかります
さらに法人の決算・申告のための会計ソフトや税理士への報酬、社会保険の会社負担分(後述)も毎年の固定費です。
「設立費用の安さ」と「毎年の維持費」は別物として、維持費を上回る効果が続くかを確認することが、費用面の判断ポイントです。

設立費用や維持費を電卓で計算する会社員の手元を表現する画像

社会保険料はどうなる?——立場によって効果がまったく違う

法人設立と社会保険の関係は、このテーマで最も誤解が多い部分です。
まず前提として、株式会社や合同会社などの法人の事業所は、事業主(代表者)1人だけでも健康保険・厚生年金保険の強制適用です日本年金機構「適用事業所と被保険者」)。

役員報酬を受け取れば被保険者となり、保険料は標準報酬月額(報酬を等級に区分した金額)に保険料率を掛けて計算し、会社と本人が半分ずつ負担します。

厚生年金保険料率は18.3%で固定(日本年金機構「厚生年金保険の保険料」)、
健康保険料率は協会けんぽの場合都道府県別で、令和8年度の東京都は9.85%、
40〜64歳はこれに全国一律1.62%の介護保険料率が加わります(協会けんぽ「令和8年度の保険料率」)。

会社員がマイクロ法人から役員報酬を取るとどうなる?

「勤務先で社会保険に入っているから、自分の法人では手続き不要」とはなりません
勤務先とマイクロ法人の両方で加入要件を満たす場合、本人が10日以内に「健康保険・厚生年金保険 被保険者所属選択・二以上事業所勤務届」を提出し、
標準報酬月額は両方の報酬月額を合算して決定されます。
保険料は合算後の標準報酬月額で計算したうえで、各社の報酬の割合に応じて按分されます(日本年金機構「複数の事業所に雇用されるようになったときの手続き」)。

つまり、会社員が自分の法人から役員報酬を受け取ると、報酬の合計が増える分だけ保険料も増える方向に働き、
マイクロ法人側の報酬を低く設定しても保険料の節約にはなりません
しかも按分の結果は各事業所に通知されるため、
勤務先の社会保険事務の担当者が手続きに関与することになり、副業の存在を勤務先が把握する経路にもなり得ます
社会保険料の「最適化」を目的にした設立は、会社員のままでは基本的に成り立たない、と考えておくのが安全です。

「社会保険料を抑えられる」と語られるのは個人事業主の場合

インターネット上で紹介される「マイクロ法人で社会保険料を最適化する」方法は、
多くの場合、国民健康保険・国民年金に加入している個人事業主・フリーランスを想定しています
国民健康保険料は所得に応じて増えるため、事業の一部を法人化して低めの役員報酬を設定し、
法人の健康保険・厚生年金(保険料は標準報酬月額ベース)に切り替えることで、保険料負担が変わる場合がある、という仕組みです。

参考として、厚生年金の標準報酬月額の下限等級(8万8,000円)の場合、
令和8年度の保険料は会社負担と本人負担を合わせて月1万6,104円(本人負担8,052円)です(日本年金機構「令和8年度保険料額表」(PDF))。
これに健康保険の保険料が加わります。

ただし、この仕組みには限界とリスクがあります。
第一に、これは退職・独立後や、もともと個人事業主である人の話であり、勤務先で社会保険に加入する会社員には前述のとおり当てはまりません。
第二に、報酬を低く抑えれば、将来受け取る厚生年金の額や、傷病手当金など報酬額に連動する給付もそれに応じた水準になります。
第三に、保険料負担を抑えることだけを目的にした、事業の実態を伴わない設計は、税務・社会保険の両面で説明が難しくなります。
未加入や届出漏れに対しては年金事務所による加入指導が行われ、応じない場合は立入検査や職員の認定による加入手続きが実施されることがあります日本年金機構「適用促進に向けた取り組み」)。
第四に、保険料率や制度は毎年度見直されるため、現在の前提が将来も続くとは限りません。
制度の隙間を突く発想ではなく、事業の実態に合った設計かどうかで判断する必要があります

立場公的保険の状態マイクロ法人設立で社会保険料はどうなるか
会社員のまま兼業勤務先の健康保険・
厚生年金に加入中
役員報酬を取ると
二以上事業所勤務となり、
報酬を合算して保険料を計算。
節約にはならず
勤務先が把握する経路にもなり得る
個人事業主・フリーランス国民健康保険・
国民年金
法人の社会保険に
切り替わることで
負担が変わる場合があるが、
将来の給付水準・事業の実態・
維持費込みでの検討が必要
退職して法人一本退職により勤務先の
社会保険を脱退
自分の法人で健康保険・
厚生年金に加入(強制適用)。
報酬設計は
給付水準とセットで判断
会社員のまま兼業・個人事業主・退職して独立の3つの立場で社会保険の扱いが分かれることを表現する画像

会社員が設立前に確認したいチェックポイント

ここまで、会社員のまま兼業する場合・個人事業主の場合・退職して法人一本にする場合で、社会保険料の結論が変わることを見てきました。
ここから先は、(1)自分が勤務先の社会保険に加入する会社員か、個人事業主・退職後かを確認し、(2)法人で実際に行う事業の内容と役員報酬の予定を置き、(3)税金・社会保険料・維持費を同じ条件で比較する、という順番で設立前の確認事項を整理します。
「何となく有利そう」で登記してしまうと、やめるときにも手間と費用がかかります

表中の「勤務先のルール」については、就業規則だけでなく、住民税の徴収方法から副業が勤務先に伝わる仕組みも知っておくと、設立後の見落としを防げます。

収益・保険・手取りの確認

確認したいこと見る資料なぜ重要か
副業・投資の
利益の水準と継続性
直近2〜3年分の
確定申告書の控え・
収支内訳書
一時的な利益で法人化すると、
利益が落ちた後も
維持費と申告義務だけが残るため
勤務先の社会保険加入状況と
役員報酬の予定
  • 給与明細・源泉徴収票
  • 勤務先の社会保険の加入状況が分かる資料
  • 法人から受け取る役員報酬の設計案
会社員が役員報酬を受け取ると
二以上事業所勤務となり、
勤務先の報酬と合算して
保険料が決まるため。
会社負担分を含めた
保険料の増減が
判断を大きく左右する
ため
手取りベースの比較試算個人のままの場合と
法人化した場合の
「税金+社会保険料+維持費」を
並べた試算表
税率差だけの比較では、
役員報酬への課税と
社会保険料で
結論が逆転することがあるため

勤務先・情報公開・運営負担の確認

確認したいこと見る資料なぜ重要か
勤務先のルール就業規則の副業・兼業規定、
役員就任に関する定め
事前申請や制限がある場合、
手続きを踏まないと
勤務先との信頼関係に関わるため
公開される情報登記事項証明書に載る項目
(商号・本店所在地・代表者名など)
登記情報は誰でも取得でき、
法人番号も公表されるため、
完全に知られない前提は
成り立たない
ため
事務負担の見込み法人の会計・決算・申告、
役員報酬の源泉徴収など
毎月〜毎年発生する作業の一覧
個人の確定申告より
格段に手間が増え
対応を怠ると
期限遅れの加算につながるため
やめるときの出口解散・清算にかかる
手続きと費用の概要
解散・清算にも登記、申告、
専門家費用などが発生し得るため、
利益が続かなくなった場合の
撤退時期と費用を
あらかじめ確認しておく必要
があるため

よくある質問

Q. 副業の利益がいくらになったら法人化を検討すべきですか?

「500万円」「800万円」などの目安が語られますが、単独では判断できません
本業の給与と合算した個人の税率、社会保険料の変化、均等割や税理士報酬などの維持費、利益の継続性によって結論が変わるためです。
判断するときは、副業利益の金額だけでなく、本業給与、役員報酬の予定額、社会保険料、法人の固定費、利益の継続性を同じ条件で並べて比較してください。
目安の水準に近づいたら、確定申告書の控えをもとに個人のまま・法人化した場合の手取りを試算するタイミングだとお考えください。

Q. 会社員でも、マイクロ法人を作れば社会保険料を減らせますか?

基本的に減らせません
勤務先とマイクロ法人の両方で加入要件を満たすと、二以上事業所勤務として両方の報酬を合算して保険料が計算されるためです。
この方法が語られるのは主に国民健康保険・国民年金に加入する個人事業主の場合で、会社員とは前提が異なります。

Q. 役員報酬をゼロにすれば、社会保険の手続きは不要ですか?

法人はたとえ1人でも強制適用事業所であり、適用の届出そのものを省略できるわけではありません。
報酬の支払いがない場合に被保険者となるかどうかは、報酬の有無や業務の実態によって扱いが変わるため、自己判断せず年金事務所や専門家に確認してください
実態と届出が食い違ったまま放置すると、調査の際に遡って手続きが必要になることがあります。

Q. 合同会社と株式会社、どちらで設立すべきですか?

設立費用を抑えて自分1人の収入の受け皿にするなら、登録免許税が最低6万円で定款認証も不要な合同会社が候補になります。
一方、外部からの出資受け入れや株式による事業拡大を考えるなら株式会社が向いています。
税率や社会保険の扱いは会社形態で変わらないため、「何のための法人か」で選ぶのが基本です。

Q. 法人が赤字なら、税金はかかりませんか?

法人税はかかりませんが、法人住民税の均等割は利益と関係なく毎年かかります(東京23区内の最小規模の法人で年7万円)。
また、赤字でも決算と申告は必要です。
なお、青色申告の要件を満たしていれば、赤字は翌期以降10年間繰り越して将来の黒字と相殺できます。

まとめ

マイクロ法人(合同会社)の設立は、税率の低さや「設立費用6万円」という数字だけを見ると魅力的に映りますが、
判断材料は「税金+社会保険料+維持費を引いた手取りが、個人のままより増えるか」の一点です
とくに勤務先で社会保険に加入している会社員は、役員報酬を取ると保険料が合算計算されるため、
「マイクロ法人で社会保険料を最適化する」という一般に出回る話がそのまま当てはまりません。
利益の継続性・勤務先のルール・登記による公開・事務負担・出口までを確認したうえで、
直近の確定申告書の数字を使った試算を経てから決めることをおすすめします

トランス税理士法人では、サラリーマン・会社員の確定申告や税務相談をサポートしています。
副業・投資の法人化やマイクロ法人の設立判断に迷っている方は、直近の確定申告書の控え・副業や投資の収支が分かる資料・給与の源泉徴収票を整理したうえでお気軽にご相談ください。

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投稿者プロフィール

中山慎吾
中山慎吾トランス税理士法人 代表税理士
1978年生まれ。
東京税理士会所属(登録番号 第140269号)。
明治大学大学院グローバル・ビジネス研究科修了、MBA取得。

税理士・CFP・1級ファイナンシャル・プランニング技能士として、法人税務から個人税務まで幅広い相談に対応。特に、サラリーマン・会社員の確定申告、税務調査対応、RSU・ストックオプション、不動産所得、副業、各種控除など、給与所得者に起こりやすい税務の論点を中心にサポートしている。

また、税務調査をテーマにした書籍
『〜知らないと損するかもしれない〜 税務調査を受ける前に押さえるべきポイント』
(株式会社KACHIEL)に、共著者の一人として執筆に参加。

コラムでは、複雑になりやすい税金の仕組みをできるだけ分かりやすく整理し、
読者が自分の状況を確認しやすい情報発信を行っている。