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副業・Wワークの税金と住民税|20万円基準と会社に知られる仕組み

厚生労働省の2025年の「副業・兼業の事例集」では、副業・兼業を希望する正社員の割合は2022年に7.7%となり、15年前から3.7ポイント増えたと整理されています。
従業員の社外活動を支える企業も増える一方、税金の手続は副業の形によって異なります。
副業の税金は、「20万円以下なら申告不要」「普通徴収なら会社に知られない」と一律には判断できません。
副業先からの受け取り方を最初に分けると、確定申告、必要経費、住民税、青色申告で確認すべき手順が見えてきます。
この記事で分かること
- アルバイトなど2社目の給与と、業務委託など給与以外の副収入では、「20万円」の判定に使う金額が異なります。
- 所得税の確定申告を省略できる場合でも、住民税の申告が必要になることがあるため、翌年1月1日時点の住所地の自治体へ確認します。
- 住民税を本人が納める普通徴収を希望できるのは、主に給与・公的年金等以外の所得に係る住民税です。給与のWワークでは希望どおりに分けられない場合があります。
- 白色申告と青色申告では、特別控除、専従者給与、純損失の繰越しが異なります。青色申告承認申請書を出すだけで65万円控除になるわけではありません。
- 税務手続と勤務先への届出は別です。普通徴収を選ぶ場合も、就業規則、届出・許可、競業・秘密保持の条件を確認します。

副業の税金は、受け取り方によって確認する所得が変わる
最初に確認するのは、副業の名称ではなく「何の対価として、どのように支払われたか」です。
同じ副業でも、雇用契約に基づく給与、独立して請け負った仕事の報酬、物件の賃料、資産運用の利益では、所得の計算や住民税の扱いが異なります。
| 受け取り方 | 主に確認する所得 | 最初に用意する資料 |
|---|---|---|
| アルバイト・パートなど 雇用契約による2社目の給与 | 給与所得 |
|
| 業務委託・原稿料・Web制作など 独立した仕事の報酬 | 事業所得または 業務に係る雑所得 |
|
| マンション・駐車場などの賃料 | 不動産所得 |
|
| 株式・投資信託・ 暗号資産などの取引 | 商品と取引内容に 応じた所得 |
|
給与は、会社が発行する源泉徴収票を基に給与所得控除を使って計算します。
業務委託など給与以外の仕事は、売上からその収入を得るために必要な経費を差し引いて所得を計算します。
「副業」という呼び方だけで、給与から経費を差し引いたり、すべてを雑所得にまとめたりしないことが出発点です。
副業が20万円以下なら確定申告は不要ですか?
「20万円」が売上、所得、給与のどれを指すかは、副業の受け取り方で変わります。
国税庁の給与所得者で確定申告が必要な人では、1か所から給与を受ける人と、2か所以上から給与を受ける人を分けて判定しています。
受け取り方の整理と並行して、給与・副業・投資といった収入の組み合わせごとの申告要否の全体像をつかんでおくと、自分の当てはまる判定を見つけやすくなります。
給与以外の副業は「売上-必要経費」で判定する
1か所から給与を受け、年末調整を受けている会社員の場合、代表的な判定は、給与所得・退職所得以外の所得金額の合計が20万円を超えるかどうかです。
業務委託の売上そのものではなく、「総収入金額-必要経費」で計算した所得を確認します。
たとえば、業務委託の売上が25万円、必要経費が8万円なら、所得は17万円です。
この副業だけなら20万円以下ですが、ほかに家賃収入など給与以外の所得があれば合計して判定します。
経費にできる範囲は費目名だけでは決まらないため、売上との関係と支払資料を残しておきましょう。
副業の経費にできる支出と家事按分の考え方を押さえておくと、この所得計算がぶれにくくなります。
Wワークの給与は「年末調整されなかった給与収入」を合計する
2か所以上から給与を受ける人は、年末調整されなかった給与の「収入金額」と、給与所得・退職所得以外の「所得金額」の合計が20万円を超えるかを確認します。
給与のWワークでは、副業先の給与から自分で必要経費を差し引いて判定するわけではありません。
本業へ「給与所得者の扶養控除等申告書」を提出している場合、副業先からの給与は一般に従たる給与となります。
従たる給与は原則として年末調整できないため、本業と副業先の源泉徴収票をそろえて確定申告で精算します。
詳しくは国税庁の2か所以上から給与をもらっている人の源泉徴収で確認できます。
医療費控除などで申告するなら20万円以下の所得も含める
医療費控除や寄附金控除などを受けるために所得税の確定申告をする場合は、20万円基準の対象となる副業給与や給与以外の所得だけを申告から外すことはできません。
申告する所得をまとめて計算します。
また、給与収入が2,000万円を超える場合など別の申告条件もあるため、申告要否は一つの基準だけで決めないようにします。

住民税は、所得税の確定申告をしなくても別途申告が必要になることがある
所得税の20万円基準により確定申告をしない場合でも、住民税では給与所得と給与以外の所得を合算して税額を計算するため、住民税申告が必要になることがあります。
手続の様式や受付方法は自治体によって異なるため、翌年1月1日時点の住所地の市区町村へ確認します。
自治体へ問い合わせるときは、副業が給与か給与以外か、所得税の確定申告をするか、普通徴収を希望する所得が何かを伝えると、必要な手続を確認しやすくなります。
普通徴収を選べば、副業が会社に知られるのを防げますか?
個人住民税の納め方には、勤務先が給与から差し引く「特別徴収」と、本人が納める「普通徴収」があります。
給与所得者の住民税は原則として特別徴収です。
一方、確定申告で給与・公的年金等以外の所得に係る住民税について、普通徴収を希望できる場合があります。
給与のWワークは、副業分だけ普通徴収にできない場合がある
アルバイトなど2社目も給与である場合、その給与に係る住民税は本人の希望だけで普通徴収に切り替えられないことがあります。
複数の給与を合算し、主な勤務先で特別徴収する運用となる自治体もあります。
「確定申告書で普通徴収を選べば、副業給与を必ず分離できる」とは考えず、住所地の自治体へ確認してください。
給与以外の所得も、自治体の手続を確認する
給与以外の所得に係る住民税について普通徴収を希望する場合も、申告画面での選択だけで完了するとは限りません。
自治体によっては、所得税の確定申告とは別に住民税申告書の提出や連絡が必要な場合があります。
申告前後に自治体の最新案内を確認し、所得の種類、必要書類、提出期限、徴収方法が希望どおり登録されるかを確かめます。
普通徴収は、会社に知られないことを保証する制度ではありません。
また、勤務先への届出義務は就業規則に従います。
厚生労働省は副業・兼業に関するガイドラインやモデル就業規則を公開しています。
副業を始める前に、届出・許可の要否、競業、秘密保持、労働時間や健康管理の条件を確認しましょう。
雑所得と事業所得は、活動実態で判定される
業務委託などの副業が事業所得か業務に係る雑所得かは、名称や希望だけでは選べません。
活動が社会通念上、事業といえる程度かを、営利性・継続性・独立性・規模、帳簿書類の保存などの実態から確認します。
「開業届を出した」「売上が300万円を超えた」という一つの事実だけで決まるものではありません。
業務に係る雑所得も、「総収入金額-必要経費」で所得を計算します。
ただし、雑所得の損失は給与所得などと損益通算できません。
前々年の収入金額が300万円を超える場合は現金預金取引等関係書類の保存、1,000万円を超える場合は収支内訳書等の添付が必要です。
国税庁の雑所得の案内も確認してください。
事業と呼べる規模で利益が続くようになった段階では、法人化した場合に税金と社会保険料がどう変わるかが次の判断材料になります。
青色申告は、10万円・55万円・65万円控除と特典の要件を比較する
青色申告を選べるのは、不動産所得、事業所得、山林所得があり、期限までに青色申告承認申請書を提出した人です。
給与所得と雑所得は対象ではありません。
青色申告の承認を受けていない申告は一般に白色申告と呼ばれますが、白色でも不動産所得・事業所得・山林所得の記帳と帳簿書類の保存は必要です。
白色申告と青色申告10万・55万・65万円の違い
| 区分 | 主な記帳・申告要件 | 青色申告特別控除 |
|---|---|---|
| 青色申告の承認なし (一般に白色申告) | 記帳・帳簿書類の保存、 確定申告時の収支内訳書 | なし |
| 青色申告・10万円 | 青色申告の承認を受け、 55万円・65万円の要件には 該当しない | 最大10万円 |
| 青色申告・55万円 |
| 最大55万円 |
| 青色申告・65万円 | 55万円の要件に加え、 e-Taxによる申告または 優良な電子帳簿の保存 | 最大65万円 |
控除額は所得金額が上限です。
申請書を提出しただけで最大65万円になるわけではありません。
詳しい要件は、国税庁の青色申告特別控除と白色申告者の記帳・帳簿等保存制度で確認できます。
専従者給与は青色申告と白色申告で扱いが異なる
青色申告では、生計を一にする15歳以上の親族がその事業に専ら従事し、事前の届出どおりに支払った適正額の給与を必要経費にできる場合があります。
白色申告では実際に支払った給与を必要経費にはできませんが、事業専従者控除として、配偶者は最高86万円、その他の親族は1人最高50万円と、控除前の所得を専従者数に1を足した数で割った金額とのいずれか低い金額を差し引けます。
不動産所得では、貸付けが事業的規模であることも要件です。
青色事業専従者として給与を受ける人や白色申告の事業専従者は、同一生計配偶者や扶養親族にはなれません。
給与額だけで比較せず、届出期限、従事期間、仕事内容、扶養への影響を国税庁の青色事業専従者給与と事業専従者控除で確認します。
純損失は翌年以後3年間に繰り越せる
青色申告者の事業所得などに赤字があり、損益通算後も控除しきれない純損失が生じた場合は、翌年以後3年間にわたり各年の所得から控除できます。
前年も青色申告なら、繰越しに代えて前年へ繰り戻し、所得税の還付を受けられる場合もあります。
雑所得の赤字には使えないため、所得区分と申告状況を先に確認します。
詳しくは国税庁の青色申告制度をご確認ください。

家賃収入(不動産所得)は、20万円基準と住民税にも合算する
マンション、アパート、戸建て、土地、駐車場などの貸付けによる所得は、原則として不動産所得です。
不動産所得も給与以外の所得として20万円基準の合算対象となり、所得税の確定申告をしない場合でも住民税申告が必要になることがあります。
不動産所得は、賃料だけでなく更新料、返還不要の敷金・保証金、共益費などを含む総収入金額から、固定資産税、損害保険料、減価償却費、修繕費などの必要経費を差し引いて計算します。
物件に関する支出のすべてを、そのまま必要経費にするわけではありません。
建物の貸付けが事業的規模かは、原則として実態により判断します。
形式的な目安は、貸間・アパート等がおおむね10室以上、独立家屋がおおむね5棟以上です。
規模によって青色申告特別控除や専従者給与などの扱いが変わるため、物件数だけでなく契約・管理の実態も確認します。
投資は、税務上の所得区分と勤務先規程を別々に確認する
労務を提供して給与や報酬を受ける副業と、株式・投資信託・不動産・暗号資産などの資産を保有・運用することは、同じ手順では判定できません。
税務上は商品と取引内容に応じて所得区分や申告方法を確認し、勤務先との関係では就業規則上の届出対象かを別に確認します。
「投資だから副業ではない」「投資なら勤務先への確認は不要」と一律に決めず、年間取引資料などの税務資料と勤務先規程の両方を見ます。
個別商品の説明は本記事では扱わず、給与のWワークや業務委託と混ぜずに整理しましょう。
たとえば不動産投資なら家賃収入の申告と給与との損益通算の仕組み、FXや暗号資産なら商品ごとに課税方式が異なる利益の計算ルールというように、商品側の税務を個別に確認したうえで、勤務先規程は別の問題として整理しましょう。
副業の申告前に準備する資料
- 本業と副業先の源泉徴収票をそろえ、2社目給与の有無と年末調整された給与を確認します。
- 業務委託は、契約書、支払明細、請求書、入金記録、帳簿を照合し、売上の計上漏れや二重計上がないか確認します。
- 必要経費は領収書だけでなく、どの仕事・売上に関係する支出か、私用分をどう分けたかが分かる記録を残します。
- 青色申告は、承認申請書の控え、帳簿、青色申告決算書、e-Taxの受信通知、専従者給与の届出・支払記録、繰越損失の申告書控えを確認します。
- 不動産所得は、賃貸借契約書、家賃の入金記録、売買契約書・精算書、固定資産税、借入金返済予定表、管理・修繕・保険の資料を集めます。
- 住民税は、翌年1月1日時点の住所地、所得税申告の有無、普通徴収を希望する所得の種類を整理して自治体へ確認します。
- 勤務先の就業規則を読み、副業の届出・許可、競業・秘密保持、労働時間管理に関する条件を確認します。
よくある質問
Q. 副業所得が20万円以下でも住民税の申告は必要ですか?
A. 所得税の確定申告をしない場合でも、住民税申告が必要になることがあります。
20万円基準を所得税と住民税へ同じように当てはめず、翌年1月1日時点の住所地の自治体へ、副業の所得種類と金額を伝えて確認してください。
Q. 普通徴収を選べば会社に知られませんか?
A. 普通徴収を希望しても、会社に知られないことは保証されません。
特に2社目も給与の場合は、本人の希望どおりに副業分を普通徴収へ分けられないことがあります。
所得の種類と自治体の運用を確認し、勤務先の就業規則にも従いましょう。
Q. 開業届を出せば、副業を事業所得として申告できますか?
A. 開業届の提出だけでは決まりません。
事業所得か業務に係る雑所得かは、営利性・継続性・独立性・規模、帳簿書類の保存など活動の実態を踏まえて確認します。
青色申告承認申請書の提出も、所得区分を自動的に変えるものではありません。
Q. 雑所得の副業が赤字なら、給与と相殺できますか?
A. 雑所得の損失は、給与所得など他の所得と損益通算できません。
赤字を給与から差し引くことを前提に所得区分を選ばず、活動実態と帳簿・証拠資料に基づいて確認します。
まとめ
副業の税金と住民税を整理する第一歩は、受け取った金額を「2社目の給与」「業務委託など給与以外の報酬」「家賃収入」「投資収益」に分けることです。
給与のWワークと給与以外の副業では、20万円基準、必要経費、青色申告、住民税の徴収方法が異なります。
青色申告は、10万円・55万円・65万円の控除額だけでなく、記帳、決算書、期限内申告、専従者給与、純損失の繰越しまで含めて白色申告と比較します。
普通徴収も会社に知られないことを保証する仕組みではないため、住所地自治体の最新運用と勤務先の就業規則を確認してください。
トランス税理士法人では、サラリーマン・会社員の確定申告や税務相談をサポートしています。
副業の所得区分、確定申告の要否、青色申告、住民税の申告方法に不安がある方は、本業・副業先の源泉徴収票、契約書・支払明細・帳簿・領収書、不動産関連資料、現在の申告状況を整理したうえでお気軽にご相談ください。
投稿者プロフィール

- トランス税理士法人 代表税理士
- 1978年生まれ。
東京税理士会所属(登録番号 第140269号)。
明治大学大学院グローバル・ビジネス研究科修了、MBA取得。
税理士・CFP・1級ファイナンシャル・プランニング技能士として、法人税務から個人税務まで幅広い相談に対応。特に、サラリーマン・会社員の確定申告、税務調査対応、RSU・ストックオプション、不動産所得、副業、各種控除など、給与所得者に起こりやすい税務の論点を中心にサポートしている。
また、税務調査をテーマにした書籍
『〜知らないと損するかもしれない〜 税務調査を受ける前に押さえるべきポイント』
(株式会社KACHIEL)に、共著者の一人として執筆に参加。
コラムでは、複雑になりやすい税金の仕組みをできるだけ分かりやすく整理し、
読者が自分の状況を確認しやすい情報発信を行っている。
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